慢性骨髄性白血病

解らないことへの不安・恐怖

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漠然とした死へのイメージ

 私の場合、事の発端は、コレステロール値の定期検査で行った血液検査でした。白血球の数が3万になっていたため、『白血病の疑いがあるので、専門病院で再検査するように』と言われ、専門病院を紹介されました。

 当時は、白血病に対する知識がほとんど無く、漠然とした死へのイメージのみでした。ですから、『ひょっとしたら、俺もこれで終わりかな』と本気で思い、病院から自宅までの帰り道がすごく長く感じられました。

 白血病の疑いがあると言われてから、再検査の骨髄検査で慢性骨髄性白血病が確定するまで、約2週間ありましたが、その間、考えが悪い方に悪い方に傾いてしまい、かなり落ち込みました。

 例えば、こんな感じです。『白血病の発生確率は、100万人に5人ぐらいと言われているけど、宝くじには当たらないのに何でこういうのに当たるかなぁ』とか、『何で俺なんだ!』とかなどです。

 それでも病名が確定し、病気の実態が徐々に判明して、『今では不治の病気ではない』ことなどが解ると、かなり落ち着きを取り戻したのを憶えています。

 

どんな治療をするのかな

 紹介された専門病院の診療科は、血液内科でした。最初に行ったのは、血液検査と骨髄検査です。血液は骨髄から作り出されるとのことです。

 骨髄検査はドイツ語でマルクとも言い、胸骨、あるいは腰骨にちょっと太い注射針を刺して、骨の中にある骨髄を吸い上げ、骨髄の中の異常な白血球を作り出す染色体の数や、作り出された異常な白血球の数を検査し、病名を確定します。

 私の場合は、胸骨から骨髄を採取しました。麻酔をするので痛くはないのですが、胸の中が吸い上げられる感覚があり、ちょっと気持ち悪く、苦手です。

 慢性骨髄性白血病が確定すると、治療としては、大きく分けて、骨髄移植と投薬治療に分かれます。その当時、主治医からは次のように言われました。

 『完治を目指すのであれば、骨髄移植になるが、体力的にかなり厳しく、命がけの治療になる。投薬治療では、完治はしないが、異常な白血球をほぼゼロにすることがでる。その代り、薬は一生飲み続ける必要がある』。

 現在では、断薬臨床試験が行われるなど、慢性骨髄性白血病を取り巻く医療は進歩しています。

 私の場合は、年齢的なこともあり、投薬治療をすることになりました。骨髄移植はかなり体力がないと耐えられないので、年をとっている人には無理な面もあります。

 投薬治療の薬ですが、飲み薬でグリベックと言います。ちょっと前までは、飲み薬が無かったので、インターフェロンのような自己注射による治療が主流だったとのことです。

 グリベックの投薬治療では、投薬による副作用を見極めるため、1週間入院しました。副作用は個人差があり、グリベックが合わない人もいます。私の場合は、入院中は副作用はありませんでした。

 退院後は、定期的に血液検査と骨髄検査を行い、投薬の効果をチェックしていました。

 投薬中の制限は相性の問題で、グレープフルーツを食べてはいけないことぐらいですが、注意しなければならないのは、投薬により、血液成分の数値が低めになり、体の抵抗力が若干落ちるので、風邪などの感染症にかからないように予防する必要があります。

 そのほかは副作用がなければ、通常の生活ができるのですが、私の場合は、投薬開始から2週間後ぐらいから副作用が出始めて、1ヶ月間ぐらいは通常の生活ができませんでした。詳細は副作用のカテゴリーの方に書きます.

 

通常の社会生活はできるの

 私の場合は、グリベックの投薬で治療をしましたので、そのケースについて書きます。通常の社会生活ができるかどうかは、薬の副作用と効果にかかっています。

 大きな副作用が無く、かつ薬が効いていれば、通常の社会生活ができます。薬の副作用と効果は、かなり個人差があるようなので、実際に服用してみてからと言うことになります。

 グリベックの投薬治療を行う場合、副作用を見極めるため、最低でも1週間程度の入院が必要です。私の場合は1週間入院し、入院中はまったく副作用は出ませんでした。退院して、グリベックを服用してから2週間後くらいから、副作用が出始めました。

 最初に出たのは、耐え難いほどの筋肉痛で、特に太腿の表側です。続いて出たのが、耐え難いだるさで、特に足です。これらの副作用はかなり堪えました。

 何とかぎりぎり我慢できる範囲で、介護を受けるほどではありませんでしたが、あんなのがずうっと続いていたら、たぶん耐えられなかったと思います。これらの副作用が完全に無くなったのが、約1ヶ月後でした。

 グリベックを服用してから1ヶ月後ぐらいから出始めたのが、軽い下痢と軽い発疹です。下痢は体重を落とすほどではありませんでしたし、発疹も手足の先に少し出て、痒い程度でしたので、それほど問題にはなりませんでした。

 結局、グリベックを服用してから1ヶ月間は、通常の生活はできませんでした。詳細は副作用のカテゴリーの方に書きます。

 

経済的負担はどうなのよ

 私の場合は、グリベックの投薬で治療をしましたので、そのケースについて書きます。グリベックの投薬治療を開始するに当たり、薬の副作用を見極めるため、最低でも1週間程度入院しなければなりません。

 最初に負担しなければならないのが、この入院費用です。私の場合は、ちょうど1週間で退院でき、その時の入院費用は、3割自己負担分で約13万円ぐらいでした。

 もちろん、入院した部屋は、差額ベッド費用のかからない4人部屋でした。2人部屋とか、個室になると、1日単位に差額ベッド費用というのがかかり、割高になります。

 私は医療保険に入っていたので、入院費用は保険でカバーすることができ、実費はかかりませんでした。

 退院した後は、通院治療になりますが、ここで大きな負担になるのが、グリベックの薬代です。血液検査と骨髄検査も行いますが、これはそれほど大きな負担ではありません。何と言ってもグリベックの薬代です。

 当時グリベックは開発されたばかりの薬だったので、特許が効いていて、高額な薬でした。よくテレビなどで宣伝されている、特許のきれたジェネリック医薬品というわけにはいきません。

 私は1日4錠服用していましたが、5週間分の費用は、3割自己負担分で約15万5千円ぐらいでした。

 ただし、社会保険、あるいは国民健康保険等に加入していれば、『高額療養費の払い戻し制度』というのがありますから、同一月に支払った自己負担分の医療費が一定額を超えた場合は、本人の申請により、超えた分が払い戻されます。

 この制度の取り扱い単位は月単位で、払い戻される時期は、3ヶ月後になります。

 私の場合は、社会保険に加入していて、手続き等はすべて健保組合が行ってくれたため、毎月一定額を超えた分が自動的に払い戻されていました。

 また、健保組合からもいくらか払い戻されるのと、すでに4回以上高額療養費を納めている(4回目から高額療養費の自己負担分が約半額になる)ため、結局、当時の毎月の3割自己負担分は、約3万円ぐらいでした。

 高額療養費の払い戻し制度については、いろいろ条件とか、計算式とかありますから、会社の保険担当、あるいは市、区、町、村の保険担当に一度聞いて確かめた方がよいと思います。

 また、薬を3ヶ月分くらいまとめて1度に出してもらうと、高額療養費の払い戻し制度の関係で、実費としては負担が少なるようです。

 また、限度額適用認定書(保険担当部署に申請してもらう)というものがあり、これを会計の時に保険証と一緒に出せば、全額を払わずに自己負担限度額分だけ払えばOKのようです。詳しくは保険担当部署に問い合わせて下さい。

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